EarthCARE衛星(はくりゅう)のサイエンスと検証のワークショップを開催
2025.12.1~5
日欧が協力して開発を進めてきた雲エアロゾル放射ミッション(EarthCARE: Earth Cloud, Aerosol and Radiation Explorer)の打ち上げ後としては最初のサイエンスを目的としたワークショップ(EarthCARE Science and Validation Workshop 2025)が、JAXAとESA(欧州宇宙機関)を主催、NICTと東京大学大気海洋研究所を共催として、2025年12月1日から5日まで東京大学弥生講堂(一条ホール・アネックス)にて開催された。
EarthCARE衛星(はくりゅう)には4つのセンサ(雲プロファイリングレーダ:CPR、広帯域放射収支計:BBR、多波長イメージャ:MSI、大気ライダ:ATLID)が搭載されており、ワークショップの開催に合わせて初日の12月1日には、3センサおよび4センサ複合のLevel2プロダクトが公開された。また、それに先んじて11月27日にはJAXA主催で記者説明会が開催されている。ワークショップの現地参加登録者数は約250名、オンライン参加登録者数は約200名であった。米国や中国に関わる世界情勢の関係もあり、現地参加者は212名と当初の登録数より若干少なくなったが、ワークショップは盛況で活発な議論が行われた。開始されてからもオンライン参加登録が数多くあったようで、本ワークショップへの関心の高さがうかがわれた。
ワークショップは主催者・共催者の挨拶で始まった。JAXAからは瀧口理事が、ESAからはビデオレターでSimonetta局長が、共催者であるNICTからは安井理事に代わり当研究所の中川所長が、東京大学からは佐藤教授が挨拶を行った。次いでEarthCARE衛星、センサの状態の紹介のあと、Quality Working Group(サイエンスチーム相当)の共同議長のHogan博士より基調講演が行われた。3センサおよび4センサの複合プロダクトが公開されたことから、まずこれらのプロダクトに関連する放射収支に関するセッションから開催された。前半は主にサイエンスの議題で、雲降水に関する観測・検証のセッション、雲降水の微物理と対流システム(気象モデル)、EarthCARE以前と今後などのセッションがあった。CPRに関しては、特に新しいプロダクトであるドップラ速度を使った成果が多く発表されていた。また、後半は検証が中心で、現業とEarthCARE、エアロゾルの観測と検証、航空機同期観測などのセッションがあった。
NICTからは、CPRの校正やプロダクト検証の結果、Level2アルゴリズムなどの発表を行った。検証に関する他機関からの様々な発表は、外部校正の結果を反映したCPRのプロダクト(レーダー散乱強度、Z因子)についてどの程度合っているかという主旨で議論されており、当研究所が自信を持って送り出したプロダクトが評価されている手応えを感じた。さらに、1、2日目と3から5日目までの2グループに分かれて、ポスターセッションも開催された。3日目からはデモのコーナーも用意され、NICTからは金丸研究員が取り組んでいる雲画像の3次元表示のデモを実施した。最終日は、これまでの発表をもとに議論を行ったのち、各分野の検証のサマリと勧告(recommendation)をまとめた。次回のワークショップ(EarthCARE Science and Validation Workshop 2026)は、来年6月に英国オックスフォードで行われることが告知された。
【リンク】
- 「EarthCARE Science and Validation Workshop 2025」のWebサイト
- 雲エアロゾル放射ミッション「EarthCARE」衛星(はくりゅう)全観測データの提供開始に関する記者説明会 - YouTube・JAXA
記者説明会の様子(11月27日)
中川電磁波研究所長の挨拶
堀江研究マネージャーの発表
金丸研究員の発表
雲画像3次元可視化のデモ展示
ポスターセッションの様子
会場の様子
EarthCARE衛星の模型を据えたステージ
参加者集合写真