第24回時刻・周波数諮問委員会へ参加
2025.9.18~19
時刻・周波数諮問委員会(CCTF: Consultative Committee for Time and Frequency)は、メートル条約に基づいて設立された理事機関である国際度量衡委員会(CIPM: Comité International des Poids et Mesures)の下に置かれ、時刻および周波数に関する技術的課題を審議・助言する委員会である。おおむね3年ごとに開催され、秒の定義や国際原子時(TAI)の構築に関する討議が行われる。
上記CCTFが2025年9月18日から19日に、コロナ禍の影響により対面形式としては8年ぶりにパリ郊外の国際度量衡局(BIPM)にて開催され、NICTからは当研究所電磁波標準研究センター時空標準研究室の井戸室長が代表として、蜂須主任研究員およびNemitz主任研究員がエキスパートとして参加し、また日本からは国家計量機関である産業技術総合研究所からも2名が参加した。
メートル条約加盟国の最高議決機関は、4年ごとに開催される国際度量衡総会(CGPM: Conférence Générale des Poids et Mesures)であり、次回は2026年秋に予定されている。次回のCGPMでは、時刻・周波数分野に関する決議として、①秒の再定義、②うるう秒、③月時系の3件が議論される見込みである。そのため今回のCCTFは、これまでも審議されてきたセシウム以外の国際原子時の一秒の長さを校正することができる原子遷移(秒の二次表現)の選定や各遷移の推奨周波数値の更新に加え、上記CGPMでの決議案の策定も主要目的として開催された。
今回、秒の二次表現としてインジウムイオン時計の遷移が新たに選定された。インジウムイオン時計はNICTが2013年から開発を進めてこれまで周波数値を報告してきたが、昨年、PTB(独)からNICTの値と整合する周波数値が極めて小さい不確かさで報告されたことを受け、正式に認定された。これにより、標準器としての審査に合格することでインジウムイオン時計を用いることでも国際原子時の歩度校正が可能となった。また、推奨周波数値の改定では、今後、国際原子時を利用して周波数値を報告する際の好例として、NICTが2021年に発表した論文の手法が取り上げられた。
さらに今回、CCTF内の作業部会メンバーの更新も議論され、うるう秒問題と月時系を議論する作業部会のチェアとしてそれぞれ井戸室長と同研究室の関戸研究マネージャーが就任することとなり、秒の再定義に加え、うるう秒問題、月時系という現在の3つのCCTFのホットトピック全てにNICTは作業部会等で活動を続けていく予定である。
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