2024年度重力研究集会を開催

2025.3.11

当研究所電磁波標準研究センター時空標準研究室は、NICT本部において2024年度重力研究集会「重力観測の高度化に基づく固体地球ダイナミクス研究の新展開」を2025年3月3日~4日の日程で東京大学地震研究所と共同で開催した。本会は、同研究所の特定共同研究(B)枠で採択された研究課題の成果報告会として位置付けられる。

重力観測は、地震・火山活動など固体地球変動に伴う地下質量の時空間変動を把握する有効な手法であり、本研究課題では重力変化の計測に加え、測定器や観測手法の高度化、関連分野の研究者間の情報共有にも重点を置いている。本研究会は、こうした研究の情報交換の場として有益であり、また大学院生の参加も多い。

研究会には、現地31名(うち学生11名、NICT関係者6名)、オンライン14名(うち学生2名)が参加し、大学、国土地理院、産業技術総合研究所、気象庁、地方自治体研究機関、民間企業など幅広い機関からの参加があった。2日間で17件の発表が行われ、重力変化観測の成果報告、数値計算、測地GNSSデータとの比較、ルビジウム原子時計の確度評価、データ共有に関する議論が活発に行われた。

地盤の上下変動が重力赤方偏移を通じて光格子時計の周波数シフトを引き起こすことから、時空標準研究室では固体地球潮汐変化等に起因する上下変動監視のための相対重力連続観測を実施しており、市川隆一研究マネージャーからそのデータ解析結果について、また、Nils Nemitz主任研究員からは、光原子時計の研究開発と国際協力について発表があった。今回、重力観測に携わる測地学研究者と時間・周波数分野研究者との情報共有が実現したことで、光原子時計による「秒の再定義」に向けて、分野横断的な連携によるさらなる技術の高度化に道筋をつけることができたと考えている。

4日午後には、21名(うち学生8名)が参加するラボツアーを実施し、日本標準時、光格子時計、光イオン時計、精密時刻比較のために設置されているアンテナ群などを見学した。見学者からは「NICTの研究内容を初めて知った」「時空分野と重力研究の接点を理解できた」との声が多く寄せられた。

参加者記念撮影

参加者記念撮影

ラボツアーの様子(日本標準時展示室)

ラボツアーの様子(日本標準時展示室)