第1回OptAsiaワークショップを開催

2024.12.24

当研究所電磁波標準研究センター時空標準研究室は、光時計を用いた時系生成のための時刻および周波数比較に関する「OptAsia」ワークショップを、2024年12月5日から6日にNICT本部にて開催した。OptAsiaは、NICT、韓国のKRISS(韓国標準科学研究所)、日本のAIST / NMIJ(産業技術総合研究所 / 計量標準総合センター)、シンガポールのA*STAR NMC(National Metrology Centre)が共同で進めるプロジェクトで、各組織の光時計を用いて生成された基準時刻や周波数のデータを国・組織の枠を超えて共有、相互利用することを目指している。

OptAsiaの初回ワークショップとなる今回はNICTが主催し、光時計の測定や周波数評価の結果を共有・解析するため、研究者間のネットワークを強化することを目的として開催された。NICTから12名が参加し、NICT以外の組織からはOptAsiaに参画する前記の研究機関や、OptAsiaに参画していない欧米からの招待講演者(米国のNIST、カナダのNRC、フランスのBIPM / SYRTE)3名を含む14名が参加した。

ワークショップでは、2日間で計15本の講演が行われた。招待講演者は、それぞれ40分の講演を行い、OptAsiaの課題のひとつである研究機関間の長距離の時刻および周波数リンクを改善する方法について発表した。中でもNISTのLaura Sinclair博士による「将来の大陸間時計比較のための周波数コムを用いた長距離自由空間光周波数伝送」(2022年にNatureに掲載)に関する講演は、静止衛星を利用した大陸間光時刻周波数リンクの可能性をも示唆しており、多くの参加者にとって特に印象的だった。このように初日は広範囲にわたるテーマを扱い、日本標準時システムや時空標準研究室の見学ツアーも行った一方、2日目はOptAsiaプロジェクトに参加する各機関が運用する光格子時計に焦点を当てた内容となり、ワークショップ後はこれらの時計の運用者が集まり、技術的な詳細や共通の課題に対する新しい解決策を議論する拡張ラボツアーで締めくくられた。

総括として、このワークショップは、OptAsiaの研究者間の連携とコミュニケーションを強化し、測定結果の共有と評価を進めるという目的を達成し、結果として現在第2回を韓国で来年の同時期に開催することが検討されている。また、招待講演者の存在により、新たなつながりが生まれ、OptAsiaの更なる拡大や将来的な新しい共同研究への展開も期待されている。

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ワークショップ参加者による集合写真

ワークショップ参加者による集合写真