英国の国家PNTオフィス、NPL(国立物理研究所)の来訪に合わせた三機関合同研究集会を開催
2024.12.24
英国は2010年代半ばより、PNT(Positioning, Navigation, Timing)技術を重要視して国家PNTオフィスを政府内に設け、また高精度な時刻を供給する実働機関としてNational Timing Center(NTC)を開設してロンドンの金融街に時刻を供給する等、当該技術に注力している。この度、2024年12月2日に上記国家PNTオフィスの職員3名と、NTCを運営し英国標準時を生成する国立物理研究所(National Physical Laboratory : NPL)の研究者5名がNICT本部を来訪し、これに合わせて日本の産業技術総合研究所 計量標準研究センター(NMIJ)時間周波数部門の研究者4名も加わり、三機関合同のワークショップおよびラボツアーを開催した。
ワークショップは「NICT-NMIJ-NPL Trilateral Meeting」というタイトルで、当研究所中川研究所長からの開会挨拶に続き、それぞれの機関の光格子時計や周波数比較・伝送技術の研究や、B5G技術を含む標準時の配信業務の現状を講演いただき、活発な議論を行った。当研究所電磁波標準研究センター時空標準研究室では、現在光ファイバを利用して都心に高精度な時刻を配信することをNEXTプロジェクトとして検討しており、先駆的なNTCのロンドン金融街への高精度時刻供給については参考になるところが多かった。一方、来訪した研究者の中には、時間周波数部門全体を統括する筆頭研究者や光原子時計の統括研究者等、日頃、国際学会や国際度量衡局(BIPM)で議論をするメンバーも来訪したため、ラボツアーにおいては学会では議論することがない実験をする上での技術的なディテールの議論を装置を見ながらすることができ、有益な情報交換となった。また、ラボツアー終了後には懇親会を行い、望ましい秒の再定義の方法等についても各機関の忌憚のない意見や議論をすることができた。