EarthCARE衛星(はくりゅう)のシナジー初画像公開について記者説明会を開催
2024.10.29
日欧が協力して開発を進めてきた雲エアロゾル放射ミッション(EarthCARE: Earth Cloud, Aerosol and Radiation Explorer)の衛星(はくりゅう)に搭載された4センサ(雲プロファイリングレーダ:CPR、広帯域放射収支計:BBR、多波長イメージャ:MSI、大気ライダ:ATLID)のデータが出揃ったことを受け、複合解析の初画像(シナジー初画像)を公開する記者説明会が2024年10月4日にJAXAとNICT共同でJAXA東京事務所にて行われた。
CPRについては6月27日にJAXAとNICTが共同で初画像のプレスリリースを実施している。残りの3センサについては、ヨーロッパ宇宙庁(ESA)が8月までにそれぞれ初画像を公開している。今回、これら4センサで8月28日に奄美大島付近の海上にあった台風10号の観測を行い、その画像を初公開した(図1、2)。
これまでも衛星コンステレーションによる複数センサの観測は行われてきたが、4種類のセンサが1つの衛星に搭載され、同一地点・同一時刻の「シナジー観測」を実現したのは、EarthCAREが初めてである。シナジー観測で得られた各センサのデータを複合的に組み合わせることで、ひとつのセンサだけでは分からない新たな情報が得られると期待されている。
記者説明会では、JAXAからEarthCARE/CPRの富田英一プロジェクトマネージャが(はくりゅう)の運用状況について説明した後、NICTから当研究所電磁波伝搬研究センターリモートセンシング研究室の川村室長がCPR校正活動の状況について説明した。その後、ESAのEarthCAREプロジェクトマネージャー Kotska Wallace氏とEarthCAREミッションサイエンティスト Thorsten Fehr氏からのビデオメッセージが紹介され、最後にJAXA地球観測研究センターの久保田拓志研究領域主幹からシナジー初画像についての説明が行われた。記者は現地参加7名の他オンラインでも参加しており、説明会終了後も6名の記者が会場に残り追加質問を受けるなど盛況であった。記者説明会の様子はYouTubeにてリアルタイム配信された。
今後、NICTが校正活動を行っているCPRについては、2025年1月にL1データ(工学値)が、2025年3月にL2データ(物理量)がJAXA及びESAから一般に公開される予定である。
【リンク】