IEC TC106議長に大西研究マネージャーが就任

2024.2.16

IEC TC106(国際電気標準会議 第106専門委員会)の議長に、当研究所電磁波標準研究センター電磁環境研究室の大西輝夫研究マネージャーが就任することが決定した(2024年5月から任期6年間)。IEC TC106は、人体ばく露に関する電界、磁界及び電磁界の評価方法に関する国際規格を策定する専門委員会であり、IECの他、ITU-TやCENELEC(欧州電気標準化委員会)等の関連国際機関の間において中心的な役割を担う重要な委員会である。

本委員会で策定された携帯電話端末のSAR(比吸収率)測定法・入射電力密度測定法、電力設備の電磁界測定法等のIEC規格は、我が国の国内規制に導入されており、国内の産業界や監督官庁への影響力も極めて強い。したがって本委員会には通信・電力の関係者のみならず、自動車や家電業界等、様々な業界の代表者や政府関係者が参画している。

IEC TC106は1999年に設置され、初代議長国は米国、現在の議長国は豪州である。現議長の任期終了に伴いTC106内で投票が行われた結果を引いて、2024年2月16日に上部組織であるIEC SMB(標準管理評議会)において大西研究マネージャーの議長就任が承認された。IEC TC106におけるアジア地域から初めての議長就任となる。

大西研究マネージャーは、2006年から本委員会のエキスパートとして複数のプロジェクトに参画している。とくに5Gミリ波端末等に適用される入射電力密度の測定法の規格策定においては共同コンビナーを務め、関連規格であるIEC/IEEE 63195の策定を主導した。また、ワイヤレス電力伝送(WPT)のばく露評価法検討においても2015年よりコンビナーを務め、低周波数(100 kHz程度)から300 GHzまでの広い周波数範囲を対象とした規格策定においても主導的な役割を果たし、2017年にIEC 1906賞を受賞している。今回の議長就任は各国投票に基づいており、当委員会における大西研究マネージャーの継続的かつ精力的な活動が各国から支持された結果である。

大西研究マネージャーの議長任期中は、複数存在する携帯電話端末のSAR評価法の見直しや6Gを見据えた300 GHzまでの吸収電力密度の評価法、空間伝送型WPTの評価法などの規格策定が見込まれており、我が国にとっても重要なテーマについて大西研究マネージャーとともにNICT関係者は精力的に取り組む予定である。

IEC TC106と関連機関の関係

IEC TC106と関連機関の関係

2019年、IEC TC106総会(東京)後のNICT-WSにて

2019年、IEC TC106総会(東京)後のNICT-WSにて
(大西研究マネージャー:右から2番目、
現TC106議長のMike Wood氏:左から4番目)