EarthCARE/CPR打ち上げに向けた記者説明会を開催
2023.11.30
日欧が協力して開発を進めている雲エアロゾル放射ミッション(EarthCARE: Earth Clouds, Aerosols and Radiation Explorer)と、日本が開発を担当しEarthCARE衛星に搭載される雲プロファイリングレーダ(CPR: Cloud Profiling Radar)についての記者説明会が、2023年11月30日(木)にJAXA東京事務所(御茶ノ水)で開催された。
この記者説明会は、EarthCARE/CPRの打ち上げが来年5月に決まったことを受け、その広報活動の一環として行われた。説明会自体はJAXA東京事務所で開催されたが、記者はすべてオンライン参加の形式をとり、質疑を含む約1時間の説明会の様子がYouTubeでリアルタイム配信された。当日は、JAXAからEarthCARE/CPRの富田英一プロジェクトマネージャと地球観測研究センターの久保田拓志研究領域主幹、東京大学から大気海洋研究所の佐藤正樹教授、CPRをJAXAと共同開発しているNICTから当研究所電磁波伝搬研究センターリモートセンシング研究室の川村室長が登壇した他、ヨーロッパ宇宙庁(ESA)のEarthCAREプロジェクトマネージャーDirk Bernarts氏からのビデオメッセージが紹介された。
富田プロジェクトマネージャからは、EarthCAREミッションとCPRの概要、衛星やCPRの開発状況や運用準備、観測データの提供方法などが紹介された。続く久保田研究領域主幹からは、EarthCAREミッションが目指す科学的成果(温暖化など地球環境変動メカニズムの解明、気候モデルの検証・改良、気象や大気環境の予測改善など)について、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第6次評価報告を執筆されている佐藤教授からは、EarthCAREミッションへの期待(地球温暖化・気候予測モデルの精度向上、地球デジタルツインへの貢献)についての発表があった。川村室長からはNICTが担当する打ち上げ後のCPR校正・検証の計画が紹介された。
記者はオンラインで12名ほど参加しており、CPRと現在運用中の全球降水観測画(GPM: Global Precipitation Measurement)主衛星搭載の二周波降水レーダ(JAXA/NICTで共同開発)との違いやその相補的な役割について、開発において技術的に苦労した点などの質問があった。リアルタイムでの視聴者数は120~130名程度であった。
EarthCARE衛星は、来年1月~2月に欧州でメディア向けの機体公開が予定されている。その後米国に運ばれ、2024年5月に米国ヴァンデンバーグからSpaceX社のFalcon-9で打ち上げられる予定である。打ち上げ後、NICTではCPRの校正を担当する他、JAXAと協力してアルゴリズム開発およびプロダクトの検証を行っていく計画である。
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