2023年度日本測地学会賞坪井賞(団体賞)受賞

2023.10.12

2023年度日本測地学会賞坪井賞(団体賞)(※1)を、GGOS Japan(一橋大学を筆頭にNICTを含む8機関)が受賞した。受賞理由は「全球測地観測システム(GGOS)のAffiliateとしての測地学への貢献」である。

国際測地学会内の組織であるGGOS(Global Geodetic Observing System)はこれまで個々に発展してきた宇宙測地技術(GNSS(※2)、VLBI(※3)、SLR(※4))や重力観測を統合することで地球科学分野全体への基盤を提供するものであり、地球科学の学術的イノベーションと、気候変動など地球規模の社会課題への貢献を目指している。

GGOS Japanは、日本国内におけるGGOSの活動主体として、日本学術会議IUGG分科会IAG小委員会のもとに2013年に発足した「GGOS 作業部会」において着実に活動を発展させ、2017年には世界初のGGOS傘下の地域団体GGOS Affiliateとして認められた。以降、GGOS Japanは、1)観測データに対するDOI付与、2)複数の宇宙測地技術観測での国際地球基準座標系(ITRF)構築への貢献とコロケーション測量、3)測地学会誌特集号の編纂やアウトリーチ活動、4)GGOS主催イベントの日本招致等の活発な活動等を行ってきた。

授与された賞状

授与された賞状

NICTは、1)については国内学会誌においてデータにDOIを付与し論文に掲載することで読者のデータへのアクセスを容易にすることを他機関と共に進めこれを実現した。また2)においては、国内外でも数少ないVLBI、GNSS、SLRという複数の宇宙測地計測技術を有する機関として、ITRF構築に必要な各技術の観測データ提供を果たしてきた。さらに、複数の異種観測のデータを統合して構築するITRFにおいて精度向上に不可欠な(同一拠点内の)各観測点間での相対測量(コロケーション測量)を実施。3)では原著論文を寄稿するなど、GGOS Japanの活動に重要な役割を果たしてきた。

※1 日本測地学会賞坪井賞は、測地学の発展に大きな寄与をされた故坪井忠二先生の業績を記念し、測地学の分野で特に顕著な業績を揚げた若手研究者や団体を顕彰する。
※2 GNSS: Global Navigation Satellite System (全球測位衛星システム)
※3 VLBI: Very Long Baseline Interferometry (超長基線電波干渉法)
※4 SLR: Satellite Laser Ranging (衛星レーザー測距)

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