第17回 NICT/EMC-net シンポジウムを開催

2023.7.27

当研究所の電磁波標準研究センター電磁環境研究室では、電磁的両立性(EMC)研究者・技術者の情報・意見の交換を目的としたオープンフォーラム「NICT/EMC-net」を2006年に立ち上げ、オープンイノベーションに向けた活動を継続している。現在の会員数は延べ約700名である。本フォーラムでは年に一度の定例シンポジウムを開催しており、今年度は2023年7月27日(木)に「第17回NICT/EMC-netシンポジウム」を5年ぶりの対面形式で開催した。当日は通信・放送事業者、電気電子機器や測定装置等のメーカー、試験機関、大学、官公庁・団体などから、100名(関係者35名を含む)の参加をいただいた。

今回は「普及が進む5GとEMC」をテーマとした。まず、株式会社NTTドコモの中村武宏様から普及が進む5Gの現状と課題に加え、Beyond 5G/6Gに向けた取組みが紹介された。特に、5Gの普及に向けた「攻めのEMC」として、病院内における医療機器への5G影響評価ツールの開発が紹介され、重要な社会インフラ基盤となる携帯電話システムのEMCへの取組の変革の必要性を訴えていたことに対し、会場から活発な質疑が行われる等、大きな関心をよんでいた。続いて、アンリツ株式会社の青木和典様より5Gミリ波無線端末の試験方法として新たに導入されているOver The Air(OTA)測定方法の最新動向が紹介された。ミリ波帯無線端末では従来の無線端末とは異なり、同軸ケーブルで試験装置に接続することができないため、試験に必要となる測定装置が従来よりも1,000倍高価になり、さらに測定時間も1,000倍かかり、合わせて100万倍もコストがかかる状況になっていることを挙げ、試験の効率化に向けた研究開発や3GPP等での標準化活動の必要性を挙げられていた。また、NICTの渡邊航テニュアトラック研究員からは5Gにおける電磁雑音の干渉問題と題して、ドローン等における5G無線通信への干渉評価例が報告された。

第2部では昨年度におけるNICT/EMC-netのEMC測定法研究会、EMC校正法研究会、人体の電波ばく露評価研究会の活動報告が行われた。

【リンク】

【基調講演】

中村様(NTTドコモ)

中村様(NTTドコモ)

【講演】

青木様(アンリツ)

青木様(アンリツ)

 

渡邊研究員

渡邊研究員

【活動報告】

石上教授(東北学院大学)

石上教授(東北学院大学)

 

藤井研究マネージャー

藤井研究マネージャー

 

多氣上席研究員

多氣上席研究員

会場の様子

会場の様子

プログラム(敬称略)

【第1部】
普及が進む5GとEMC
  • 基調講演「5Gの動向について」
    中村 武宏(株式会社NTTドコモ チーフテクノロジーアーキテクト)
  • 講演「5G FR2 OTA試験の現状」
    青木 和典(アンリツ株式会社 環境計測カンパニー新事業推進室 ソリューション開発部 部長)
  • 講演「5Gにおける電磁雑音の干渉問題」
    渡邊 航(NICT 電磁波研究所 電磁波標準研究センター 電磁環境研究室 テニュアトラック研究員)
【第2部】
NICT/EMC-net 活動報告
  • EMC測定法研究会
    石上 忍(東北学院大学工学部 教授)
  • EMC校正法研究会
    藤井 勝巳(NICT 電磁波研究所 電磁波標準研究センター 電磁環境研究室 研究マネージャー)
  • 人体の電磁界ばく露評価研究会
    多氣 昌生(NICT 電磁波研究所 電磁波標準研究センター 電磁環境研究室 上席研究員)