EarthCARE(雲エアロゾル放射ミッション)の日欧合同サイエンスチーム会合を開催
2023.4.19
2023年4月19日(水)、NICT本部においてEarthCARE(Earth Clouds, Aerosols and Radiation Explorer)の日欧合同サイエンスチーム(JMAG:Joint Mission Advisory Group)会合が開催された。
EarthCAREは欧州(ESA:European Space Agency)と日本(JAXA/NICT)共同の地球観測衛星ミッションであり、世界初となるドップラー観測可能な雲プロファイリングレーダー(CPR)と、大気ライダー・多波長イメージャ・広帯域放射収支計による全球の雲及びエアロゾルの鉛直分布観測を目指している。JMAG会合は、毎年2回、日欧交互に会合を開催しており、40回目となる今回は日本でJAXA/NICT共催により対面開催(一部オンラインも含む)され、欧州の科学者も含む39名が参加した。EarthCARE搭載センサで観測されるデータの日本側地上検証サイトとしてNICT本部には多数の地上観測装置が設置されており、4月19日から21日の会期のうち初日となる19日は地上検証サイトの見学会を行うためNICT本部での開催となった。NICTでJMAG会合が開催されるのは、2009年6月9日の第15回に続き2回目である。
会合では、NICT安井理事による歓迎の挨拶に続き、今年2月に急逝したTobias博士(ESAのJMAG担当)への追悼セッションが行われた。次いで、ESAから衛星本体やESA担当の3つのセンサについて、JAXAからCPRについての試験状況が報告され、打ち上げに向けて順調に進んでいることが確認された。その後、日欧双方から地上システム、高次プロダクト、検証などについてのステータス報告や議論が行われた他、初期画像など打ち上げ後の準備について議論された。また日欧合同校正・検証ワークショップを本年11月にイタリアで開催することが合意された。
EarthCAREの地上検証に関しては、九州大学、国立環境研究所、東京都立大学とNICTの4者で共同研究契約を締結し、NICT本部を日本側検証サイトとして準備を進めている。19日の会合では、昼休みを利用して地上検証用観測装置の見学会も開催され、活発な質疑が行われた。
NICTでは、CPRの高次プロダクトのアルゴリズム開発、地上検証装置によるプロダクト検証の準備に加え、打ち上げ後のCPR地上校正に向けて、レーダー校正器の改修や校正実験のリハーサルなども実施しているところである。今後、早ければ1年後に迫る打ち上げに備えて、着実に準備を進めていく。