第23回時間・周波数諮問委員会(CCTF meeting)へ参画

2022.6.29~7.1

時間・周波数諮問委員会(CCTF)は国際度量衡委員会(CIPM)の諮問委員会の一つであり、時間の単位である「秒の定義」とその実現方法や国際原子時構築に関する討議等が行われる。CCTFの総会は、国際度量衡局(BIPM)が事務局となり、約3年ごとに開催されてきた。しかし本年は秋に開催される国際度量衡総会(CGPM)で「秒の再定義」や「うるう秒の見直し」についての決議文の採択を予定しており、それらの準備のために、前回会合(2021年3月)から1年後の開催となった。

NICTは、国際原子時TAIの構築に貢献する正会員機関としてBIPM局長から招へいを受け、歴代の総会に参加してきている。加えて、CCTF傘下の常設や臨時の作業部会の委員やチェアとしても活動し、前回からの1年間、月1~2回のペースで総会に向けた企画戦略委員会等に参加し討議資料の準備等に協力してきた。

このたびの第23回CCTF meetingは完全オンラインにて2022年6月29日から7月1日にかけて開催され、各日2~3時間の討議を行った。25名の正会員機関代表を含む約100名の参加があり、NICTからは、機関代表を含めて4名が出席した。会議では、Hot Topicとして、①「秒の再定義」にむけた取り組み、②うるう秒の見直し、③人材育成に向けた取り組み、④UTCと測位衛星の相互利益の促進、が主要議題となった。

①「秒の再定義」はCCTFにおいて喫緊の最重要課題であり、秒の再定義のために満たされるべき条件や複数の定義方法の選択肢などが議論された。必要条件の議論においては現在の充足状況が報告され、国際原子時の歩度校正や各機関のリアルタイム時系(すなわち、各国の標準時)への光時計の導入についてNICTが牽引していることが該当分野のWGから報告された。出力となる勧告は、2030年のCGPMでの新定義採択に向け、2026年のCGPMまでに新しい定義の仕方やその他の懸案事項に対する具体的な解決法の提案を成す事が盛り込まれた。

②「うるう秒の見直し」については、現在、うるう秒調整が施されているUTCのあるべき姿についてCCTFから見解を示し、それを前提として現実的なうるう秒調整の在り様を提案するという方向が示され、具体的には2035年までに現在の地球時とUTCの時刻差上限値を現行の0.9秒から増やすことが勧告に盛り込まれた。同一の内容が本年11月に開催予定のCGPMで決議され、この方針がITU-RのWRC-2023で支持されることが期待される。

上記のCCTF勧告は標準機関の活動指針となるものである。時空標準研究室では、特に「秒の再定義」に向けた国際動向を注視し、NICTの研究成果が再定義により一層貢献できるよう、各種委員の立場を活かしつつ引き続きCCTFに参画していく。

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計量標準に関する組織や会議体の構成

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