CISPR(国際無線障害特別委員会)における
国際標準化への貢献
2021.11.8~19
CISPR(国際無線障害特別委員会)は、無線障害の原因となる各種機器からの不要電波(妨害波)抑止に関し、その許容値と測定法を国際的に合意することによって国際貿易を促進することを目的として1934年に設立されたIEC(国際電気標準会議)の特別委員会である。当研究所の電磁波標準研究センター電磁環境研究室では、CISPRの活動に対して、これまで年平均のべ約20名の会合出席者と、のべ約20件の寄与文書により貢献している。
2021年11月8日から19日にかけて、CISPR総会と各小委員会が開催され、日本からは総務省、NICTをはじめとする研究機関及び工業会等28名が参加し、世界全体でのべ437名が参加した。電磁環境研究室からは、山中マネージャーが日本代表団団長としてCISPR総会に参画したほか、以下に示す標準化活動に対して5名の職員が大きく貢献した。
- ① 30 MHz以下の放射妨害波測定法・ループアンテナ校正法・測定サイト要求条件とその確認法
藤井グループリーダーが国際エキスパートとして詳細な技術提案を行ってきた手法が最終国際規格案となることが決定した。一部の国際規格は今年度末に、その他の国際規格は来年度早々に発行が見込まれ、無線電力伝送(WPT)システムの妨害波測定等に広く活用されることとなる。 - ② 電気自動車用WPTシステムからの妨害波の許容値や測定手順の策定
山中マネージャーが国際エキスパートとして参画し、用語の定義、測定配置・動作条件の規定が最終国際規格案となることが決まった。 - ③ 5Gシステム等の保護のために必要な18 GHz~40 GHz帯での妨害波測定法
チャカロタイ主任研究員が国際エキスパートとして参画し、今後NICTの研究成果を反映させていく予定。 - ④ 5G等で利用する周波数や高密度な動作環境を想定した許容値設定モデルの改定
松本研究員と後藤研究マネージャーが国際エキスパートとして改訂作業に積極的な提案を行っている。
電磁環境研究室では、引き続きCISPR標準化をリードするとともに、国内関係者によりCISPR対応の審議を行う総務省情報通信審議会での活動を通じて、関連の国内規格化にも貢献する。