「電波の人体ばく露安全性評価技術と標準化に関する
国際ワークショップ」を開催
2019.11.12
当研究所の電磁環境研究室では、2019年11月12日(火)、「電波の人体ばく露安全性評価技術と標準化に関する国際ワークショップ(Workshop on Human Exposure Assessment and Related Standardization)」をAP市ヶ谷にて開催した。本ワークショップは、総務省からの委託研究「次世代電波利用システムからの人体安全性評価技術に関する調査」の中で開催され、研究成果の主要な展開先である国際電気標準会議第106技術委員会(IEC TC106:人体ばく露に関する電界、磁界及び電磁界の評価方法)の関係者と直接議論するために企画したものである。
当日は、海外から39名(米国、韓国、中国、カナダ、オーストラリア、フランス、スイス、イタリア等)と、国内から39名の合計78名が参加した。当研究所の平所長の歓迎の挨拶で開会し、総務省総合通信基盤局電波部電波環境課の渡邊課長補佐から、我が国の電波防護政策を紹介いただいた。その後、IEC TC106議長のWood氏等より、IEC TC106全体に加えて携帯電話基地局の評価法の動向、携帯電話端末の評価法、ワイヤレス電力伝送システムの評価法、5Gに関連する端末の電力密度の評価法の動向が報告された。
また、CENELEC(欧州電気標準化委員会)のTC106X議長であるWiart氏より、欧州における標準化・制度化の最新動向が報告された。近年の様々な新しい技術に対する人体ばく露の評価法の標準化を先導している有識者間で、その方向性や問題点を共有し共通の理解を進めることができた。さらに、和氣研究員よりNICTで実施している人体安全性評価技術に関する研究紹介および標準化への関わりについて報告した。ポスターセッションでは、電磁環境研究室で実施している関連研究課題7件を発表し、有識者との議論により今後の研究に有益な助言を得るとともに、国際標準化等への成果展開を後押しすることができた。とくに5Gで使用されることになるミリ波帯の人体安全性評価法として、NICTが提案している技術をアピールすることができた。
最後に、IEC TC106議長のWood氏等からワークショップ開催に対してNICTへの謝辞をいただくとともに、後日、IEC公式ブログにおいて本ワークショップの模様が掲載された。本ワークショップの開催を通して、人体ばく露の評価法や標準化活動に対してNICTが中核的な役割を果たしていることを示すことができた。今後も、関連研究成果の国際標準化に取り組み、国内外の新たな無線システムの開発・普及に貢献していく。
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