「SuperDARN Workshop 2019」を開催
2019.6.2~7
2019年6月2日(日)~7日(金)、富士急ハイランドリゾート(山梨県富士吉田市)において、国際短波レーダー観測ネットワーク(SuperDARN: Super Dual Auroral Radar Network)の国際ワークショップ「SuperDARN Workshop 2019」を開催した。SuperDARNは、短波レーダー観測装置を有する米国・英国・カナダ・日本・オーストラリア・南アフリカ・フランス・中国・イタリア・ノルウェーの研究機関で構成される国際コンソーシアムであり、国際ワークショップを毎年開催している。今回はNICT、名古屋大学宇宙地球環境研究所、国立極地研究所、電気通信大学、九州大学国際宇宙天気科学・教育センターの共同により日本で開催し、組織委員会をNICTが務めた。
短波レーダー観測装置は広範囲の電離圏プラズマ運動の計測が可能であり、SuperDARNは極域から中緯度をグローバルに観測するネットワークを構築(現在、北半球23基、南半球13基のレーダーが運用中)・発展させ、宇宙環境の監視や宇宙天気に関する基礎的研究を推進している。NICTは米国アラスカ州King Salmonに短波レーダー観測装置を有しており、およそ東経140~180度、北緯60~80度の領域をカバーする電離圏観測を行っている。
本ワークショップには11ヶ国から計85名(内、外国人55名)が参加した。NICT細川理事による歓迎の挨拶により開会された後、地上・人工衛星観測データを用いた電離圏・磁気圏変動の解析的研究やモデリング研究、新たな計測・データ処理技術や研究プロジェクト等に関する最新成果を紹介する63件の口頭発表と37件のポスター発表があり、活発な質疑応答が行われた。また、観測スケジュールの策定・調整や計測データ処理手法の標準化に関するWorking Group会合、各観測装置のPI(筆頭研究者)によるビジネス会合などの実務的な打合せも行われた。我が国は、NICTを含む3研究機関が5基の短波レーダー観測装置を運用していることから、SuperDARNにおける重要な一翼を担っている。今回の国際ワークショップを通じて、宇宙天気研究における広域ネットワーク観測の重要性がいっそう認識され、今後の宇宙天気予測モデル等に対して広域ネットワーク観測がもたらす期待と、SuperDARNにおける我が国の貢献を大きくアピールすることができた。
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