「第17回IVS技術開発センターシンポジウム」を開催
2019.6.27
2019年6月27日(木)、NICT鹿島宇宙技術センターにおいてNICT主催による第17回IVS技術開発センターシンポジウムを開催した。NICTは、2000年の国際VLBI事業(IVS: International VLBI Service for Geodesy and Astrometry)発足時よりIVSの技術開発センターを担っており、VLBI関連の研究機関・大学の研究者、企業の技術者等を集めたシンポジウムを概ね毎年開催している。今回のシンポジウムには42名の参加をいただいた。
NICTからは、広帯域VLBIシステムを使ってNICTのストロンチウム(Sr)格子時計の周波数をイタリアの国立計量研究所(INRiM)のイッテルビウム(Yb)光格子時計と10-16台の精度で比較した成果(関戸時空標準研究室副室長)や、この成果を支える要素技術である広帯域バンド幅合成技術(近藤研究員、岳藤研究員)、及び広帯域フィードの開発(氏原研究員)の報告が行われた。VLBIによる光格子時計の周波数リンク構築は世界初の成果である。
外部機関からの発表として、深宇宙ミッション「はやぶさ2」軌道決定担当の竹内氏(JAXA/宇宙科学研究所)から、小惑星Ryuuguuに到達するまでの精密誘導について講演がなされ、イオンエンジンによる加速中でも軌道を精度良く決定するためには竹内氏がNICTの研究員として鹿島宇宙技術センターで学んだVLBI技術を利用した軌道決定法が不可欠であったことが報告された。国立天文台の小林特任教授からは、天文学用の大型電波干渉計MWAを用いて、放送局電波の反射を利用したスペースデブリ探索の計画についての講演があった。講演にともない宇宙機の軌道決定やデブリ探査など、電波干渉計技術の新たな活用へのヒントとなる議論が活発に行われた。
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