「第26回震災対策技術展」に出展
2022.2.3~4
2022年2月3日・4日、パシフィコ横浜で開催された「第26回震災対策技術展」に、電磁波研究所は、ワイヤレスネットワーク研究センター、レジリエントICT研究センター(ともにネットワーク研究所)と合同で出展した。本技術展は、災害時の被害軽減のための技術・製品の普及を目的として平成9年より開催され、NICTは平成19年から毎年出展して研究成果の広報に努めている。今回の開催では、防災・減災関連の企業をはじめ、国や自治体、研究機関、大学など、全体で155社・団体が出展し、来場者は2日間で6,522名(昨年と同程度、一昨年と比較して4割程度)であった。
電磁波研究所では、リモートセンシング研究室から、内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第2期の「国家レジリエンス(防災・減災)の強化」の課題「線状降水帯観測・予測システムの開発」で日本アンテナ株式会社と共に実施している地上デジタル放送波を利用した水蒸気量観測網の構築を紹介した。現在展開中の九州における水蒸気量観測網について実際の観測装置を展示し、データ同化による気象予測精度向上について説明した。来場者からは観測方法についての質問や実用化に向けての今後の展開に期待する声が寄せられた。
ワイヤレスネットワーク研究センターでは、宇宙通信システム研究室を中心に「災害時に役立つ衛星通信システム」をテーマとし、「技術試験衛星9号機(ETS-9)」および「移動体衛星通信評価システムと無段階減衰装置の開発」について展示を実施した。ETS-9の展示では、打ち上げ後の利用ユーザの獲得を目指し、災害時に急増する通信トラヒックに対応するための周波数フレキシビリティ機能や災害時に地上の通信回線が途絶えた時に非常用回線が構築できるエリアフレキシビリティ機能を中心に説明を行った。また、災害時に役立つ衛星システムの一つとして、Ka帯を用いる移動体衛星通信が注目される中、移動体の模擬が可能な移動体衛星通信評価システムの紹介と、災害時において移動体衛星通信で利用が可能なアプリケーションとして映像配信やIP電話等を紹介した。来場者からはこのような最先端の研究・開発が重要であるとの意見をいただいたほか、災害等の非常事態にきちんと機能する技術とスキームをぜひ作ってほしいと多くの期待を込めた意見をいただいた。
レジリエントICT研究センターでは、「世界をレジリエントにするICT」と題して、以下の3つの研究テーマを展示し、企業(三菱電機、NEC他)や自治体(神奈川県、横浜市他)などからの来場があった。
- 1. 映像IoT技術を用いた高品質映像伝送による自然環境計測の事例では、千曲市の映像と地図情報を重ねたリアルタイムなバーチャル展望台や、トンガ大規模火山噴火のひまわり映像などを紹介した。
- 2. SIP第2期「国家レジリエンス(防災・減災)の強化」の「避難・緊急活動支援統合システムの研究開発」での研究開発成果である通信途絶領域解消技術を活用して情報共有を実現する当機構提唱システム「ダイハードネットワーク」の紹介と、その応用事例としてポータブルSIP4D(第6期科学技術基本計画に掲載のSIP4Dの通信途絶対策版)の動態展示を行った。また、自治体の応用として高知県消防局や香南市への導入事例も紹介した。
- 3. AIを備えた防災チャットボットSOCDAが人間の代わりに大勢の被災者と自動的にLINEで対話し、被災情報収集・分析や避難支援を行うシステムと、伊丹市や神戸市などの防災訓練の事例を紹介した。
【NICTの出展内容】
- 気象災害の予報精度向上に向けて(電磁波研究所)
- 災害時に役立つ衛星通信システム(ワイヤレスネットワーク研究センター)
- 世界をレジリエントにするICT(レジリエントICT研究センター)
- 1. 映像IoT技術による耐災害システム
- 2. ダイハードネットワーク® ~レジリエントな情報通信基盤を目指して~
- 3. 防災チャットボットSOCDA(ソクダ)を用いた災害時の被災者対応支援システム
【リンク】