Pi-SAR X3の技術実証に成功
2022.1.25
当研究所の電磁波伝搬研究センターリモートセンシング研究室では、2021年3月に機器開発を完了させた高精細航空機搭載合成開口レーダー「Pi-SAR X3」について、世界最高の分解能15cmが定常的に得られることを実証するため、同年12月15日、16日に能登半島上空において初の試験観測を行い、実証に成功した。
Pi-SAR X3は、広帯域(従来比で2倍の高周波帯域)に対応した送受信機とアンテナ、広帯域の受信信号を記録するための高速・大容量の観測データ記録装置(書き込み速度:10倍、容量:8倍(どちらも従来比))、及び観測して得られた観測データを準リアルタイムに処理して画像化する機上処理装置を搭載している。
下図は、この度の試験観測で得られた分解能15cmと同30cmの画像の比較である。分解能15cmの画像では、トラクターの車輪が田んぼに作った「わだち」を明瞭に確認することができる。このような高精細な画像が得られるPi-SAR X3の活用により、例えば、災害時の被災地状況の把握を効果的に行うことができ、救助活動や復旧作業の現場での利用が期待できる。また、地上の広範囲を上空から高精細に観測できるため、船舶や漂流物等の海面監視への利用にも期待できる。
来年度からは、Pi-SAR X3に新たに備わった機能の実証実験及び各種試験観測を行い、得られたデータを用いて分析技術の高度化等を進める予定である。
なお、本成果は、1月25日にNICTから報道発表し、同日の読売新聞夕刊(10面)において「Pi-SAR X3を用いた平時の火山観測」について取り上げられたほか、ネット上のニュースサイトにも19件掲載された(1月31日現在)。
【リンク】
- 航空機から地表面を観測する合成開口レーダーの高分解能化と技術実証に成功[NICT報道発表 2022.1.25]